なつめ(大棗)の品種別ガイド|形・食感・味の違いをなつめの専門家が解説

なつめ(棗・大棗)は、見た目は似ていても品種によって驚くほど個性が異なる果実です。

形、大きさ、皮の厚み、果肉の質感、甘みの出方まで違いがあり、用途(そのまま食べる・お茶・料理など)も大きく変わります。

なつめの品種はこれまで世の中に数百種類が生み出されてきましたが、数量は違えど主に流通しているのは数十種類です。今回はらくだ道商店でも取り扱ったことのある品種や代表の私が食べたことのある品種6種類をご紹介します。

※日本での品種の読み方は一般的に認識されておりませんのであくまで漢字をそのまま読んだ呼び方で表記しております。通常呼ばれる名前ではありません。

○ 灰棗(かいそう) 日本で流通量が多い

  • 細長い楕円形
  • やや小ぶり
  • 表皮は暗赤色〜茶褐色(完熟になると灰色がかってくるため灰棗という)

食感

  • 乾燥するとしっかりとした質感
  • 煮出すと柔らかくなる
  • 繊維感はやや強い

  • 甘さは控えめ(産地により甘味が強いものもある)
  • 黒糖・漢方的な風味
  • 日本人が食べやすい味

産地 

  • 新疆ウイグル自治区チャルクリク、アクス、カシュガル、中国河北省など

▶ 向いている用途

なつめ茶、スープ、薬膳、煮込み

○駿棗(しゅんそう) こちらも日本での流通量が多い

  • 大粒でひょうたんのような形やドロップ型
  • 見た目のボリューム感が強い

食感

  • 非常に肉厚
  • 乾燥してもねっとり
  • 果肉感があり食べ応えがある

  • 甘みが濃い
  • 干し柿に近いリッチさ
  • ほのかな酸味

産地 

  • 新疆ウイグル自治区ホータン、カシュガル、寧夏回族自治区など

▶ 向いている用途

そのまま食べる、スープ、薬膳、煮込み

○李棗(りそう)  

  • 丸い形
  • 大粒品種

食感

  • 乾燥するともっちりしっとり
  • 果肉が厚く、繊維が細かい

  • 甘みが強いが、くどさが少ない
  • なつめらしいコクと上品さのバランス型
  • Brix糖度が40%以上になるものもある

産地 

  • カリフォルニア、中国河北省、陳西省など(生産量は少なめ)

▶ 向いている用途

そのまま食べる、なつめ茶、デザート、贈答用

○ハニージャー  

  • 丸い形
  • 小粒品種

食感

  • 乾燥するとねっとりしっとり
  • 繊維が細かいもっちりしている

  • 蜂蜜のような濃厚な甘味が名前の由来
  • 複雑な甘味だが後味の残らない風味

産地 

  • 南オーストラリア、アメリカのごく一部(生産量はごく少量)

▶ 向いている用途

そのまま食べる、なつめ茶、デザート、贈答用

○冬棗(とうそう/Dongzao)

  • 丸い形
  • マダラ模様に紅みがかる
  • 生食用なつめの代表格

食感

  • 生:シャキッ、パリッ(産地や鮮度により変化)
  • 乾燥にはあまり向かない
  • 果肉が緻密で水分量が多い

  • さっぱりとした甘さ
  • りんご+梨を思わせる爽やかさ
  • なつめ特有の薬膳感は弱め

産地 

  • 中国陳西省、ベトナムなど

▶ 向いている用途

そのまま食べる、デザート、贈答用

○インドなつめ(Ziziphus mauritiana 系) 蜜棗とも呼ばれる

  • 丸型、ラグビーボール形のものもある
  • 大粒で緑色で食べる

食感

  • 生はサクッと軽い
  • りんごやナシのような食感
  • 生食用

  • 甘みの中にほんのりと酸味
  • 南国フルーツ的なニュアンス

産地 

  • 台湾、ミャンマー、沖縄など

▶ 向いている用途

生食、加工(ジャム・菓子)

※日本の「薬膳なつめ」とは別物として理解が必要

生なつめと乾燥なつめ|まず何が違うのか?

結論から言うと

水分量・食感・味・使い道・健康訴求がすべて違います

生なつめの特徴|「フルーツとしてのなつめ」

生なつめとは?

完熟または半熟状態で収穫し、乾燥させずに食べるなつめ

中国や韓国では秋の旬果として親しまれています。

生なつめの食感

シャキッ・パリッ

• りんごや梨に近い歯ごたえ

• みずみずしく軽い

生なつめの味

• 甘さは控えめ

• 爽やかな甘味

• 薬膳・漢方的なクセはほぼない

生なつめに向く代表品種

冬棗(とうそう)

• 生食専用品種

• 皮が薄く、糖と水分のバランスが良い

• インドなつめ(別系統)

生なつめの注意点

• 日持ちしない(冷蔵庫だと2〜3週間は保つ)

• 日本では流通量が少ない

• 乾燥用途には不向き

乾燥なつめの特徴|「薬膳・滋養食材としてのなつめ」

乾燥なつめとは?

完熟果また半熟果を天日または低温で乾燥させ、水分を飛ばしたもの。

日本で「なつめ」と言えば、ほぼこちらを指します。

乾燥なつめの食感

• やや硬い〜しっとり、ねっとり

• 煮ると柔らかく、果肉がほぐれる

• 品種によりねっとり系/噛みしめ系に分かれる

乾燥なつめの味

• 甘みが凝縮

• 黒糖・干し柿に近いコク

• なつめ特有の滋養感

乾燥なつめに向く代表品種

灰棗:薬膳・漢方の定番

李棗:食べごたえありリッチな味わい

駿棗:濃厚で高級感

「なつめ」は品種で選ぶ時代へ

生で楽しむなら:冬棗

日本的な薬膳用途なら:灰棗

食べごたえと満足感なら:李棗

濃厚さ重視なら:駿棗

混同注意:インドなつめは別系統

同じ「なつめ」でも、品種による違いがありますので、ぜひ色々と試してみて自分好みのなつめを見つけてみてはいかがでしょうか?

投稿者プロフィール

Hiro YAMASHITA
Hiro YAMASHITA