ナツメの栽培方法について|らくだ道商店の専門知見

はじめに

ナツメ(棗、Ziziphus jujuba)は、アジアを中心に古くから食されてきた果樹であり、その果実は薬膳や漢方に広く利用されてきました。日本でも約2000年ほど前から利用されてきた歴史がありますが、現代では忘れられた果樹としてほとんど見当たらなくなりました。世界的には健康志向の高まりと砂漠気候でも生きていける耐寒性と耐暑性を兼ね備えた有用植物として注目されてきている果樹です。
らくだ道商店は、このナツメを専門的に取り扱う数少ない事業者として、輸入・卸売・小売の全てに携わり、産地の栽培から流通・加工に至るまでの知識を蓄積してきました。ここでは当店が持つ専門的な視点などを紹介します。

ナツメ栽培の国際的背景

ナツメの原産は中国北部とされていますが、近年ではアメリカやオーストラリアなどでも高品質なナツメの栽培が進んでいます。特にアメリカ・カリフォルニア州では乾燥した気候を活かした栽培が行われ、オーガニック認証を取得したナツメも生産されています。
らくだ道商店は、アメリカでのトップシェアを誇るJUJUME社と日本総代理店契約を結び、栽培管理や加工方法に関する情報を直接得られる立場にあります。さらに、オーストラリアでのナツメ栽培のパイオニアであるJUJUBE SA社との繋がりや国内でのナツメ栽培の可能性にも着目し、調達先の多様化とブランドストーリーの強化を進めています。こうした海外との連携は、日本国内では当店ならではの強みです。

ナツメの栽培環境

ナツメを健康においしく栽培するためには、以下の条件が重要とされています。

日照と気候

  • ナツメは剛健な植物ではありますが特に日光を好みます。日本全国どの地域でもナツメは育ちますが、特に高品質なフルーツを生産する地域の方がナツメも美味しく育つ傾向にあります。
  • 気温の寒暖差があることにより豊富な栄養素と糖度が生まれます。
  • 世界の生産地域を見てみると、新疆ウイグル自治区やカリフォルニア州モハべ砂漠や南オーストラリアなど、乾燥気候で昼夜の寒暖差が大きく日照時間の長い地域で良質ななつめが生産されています。

土壌条件

  • 多くの果実に当てはまる水はけと保水性・保肥性のバランスが取れた土壌がナツメにも最適。
  • 荒野や砂漠などの砂や石などが含まれる土壌ではナツメの生命力が最大限に発揮され、良質な果実が育まれます。
  • ナツメには、地下深くに伸びる主根と地表付近を横に伸びる水平根がありますが、砂漠気候では豊富な地下水を求めて直根である主根を伸ばすことが重要になります。反対に温帯気候で降水量の多い日本では横に伸びる水平根が多く伸びる傾向にあります。

剪定と仕立て

  • ナツメは樹勢が強く、樹形も乱れやすく、放任すると5m以上に成長します。
  • 果樹として育成管理するには収穫のしやすい2〜2.5m程度で芯を止め、光が行き渡る樹形を作ることが大切です。
  • 剪定は冬季の休眠期に実施し、不要枝やひこばえを整理することは一般的な果樹剪定とは変わりはありませんが、私どものナツメ栽培は肥料や農薬に頼らない栽培方法を取り入れていますので、植物本来の力を引き出す独自の剪定方法を採用しています。

虫や病気とリスク管理

ナツメは比較的強健で、重大な病害は多くありません。ただし、以下の点には注意が必要です。

  • イラガやナツメコガなどのガの仲間やカミキリムシが発生することがあります。
  • 場所によってはスズメバチが熟した果実をせっせと食べに来るので収穫時は要注意!
  • 定期的な観察と早期対応が基本。天然由来の忌避剤である木酢液や竹酢液、にがりなどの散布を適宜施す場合もあります。私どもと取引のある海外の生産者はオーガニックな環境下で栽培、品質管理の仕組みが整っています。
  • 湿気の多い日本の気候では過湿による病気や台風による枝折れなどにも留意が必要です。
  • 夏は50度近く、冬はマイナス20度など昼夜の寒暖差も大きい砂漠気候でのナツメ栽培では、厳しい環境に虫もなかなか生存することができず、尚且つ乾燥した空気により病気のリスクが限りなく低く、オーガニックでの栽培が容易になります。

らくだ道商店では、輸入にあたって厳格な検疫や品質チェックを行い、安心して取引先や消費者に届けられる体制を整えています。

収穫と加工

日本でのナツメは9月後半〜10月にかけて収穫されます。熟すと果実は緑色から黄褐色、最終的に赤褐色へと変化します。この色の変化が収穫の目安です。

収穫のポイント

  • 実が赤褐色に色づいた頃が食味のピーク。緑色の状態では果汁も少なくよりパサパサとしているが赤く熟すことにより糖度が増して重量も増す。
  • 果実は一斉に熟すのではなく枝の根元の果実から徐々に熟すため、色合いを見ながら手作業で数回に分けて収穫します。
  • 鋭い棘を避けるため、厚手の手袋を使用するなど作業上の注意も必要です。皮製の手袋をしていても突き刺さるくらい細くて鋭い棘ですので注意しながらの収穫になります。

加工と保存

  • 収穫後、キズや虫食いなどがないか一つ一つ選別して大きさごとに仕分けします。
  • 追熟はほとんどせず傷むのが早い果実ですので生鮮果実と出荷する場合はすぐにお客様のところへ発送します。
  • らくだ道商店で取り扱うアメリカとオーストラリアのなつめは収穫後、天日乾燥でドライに仕上げます。カリフォルニアとオーストラリアの豊富な太陽光と乾燥した空気が高糖度で栄養価の高いなつめを生み出します。
  • 日本の伝統的な乾燥ナツメの加工方法は「天日乾燥→蒸す→天日乾燥」といった工程で作ります。

らくだ道商店の専門性

らくだ道商店は、単にナツメを販売するだけでなく、その栽培や加工に関する知見を活かして事業を展開しています。

  • JUJUME社との総代理店契約:アメリカでのトップシェアメーカーの栽培・加工情報を把握。
  • 顧客層の広がり:都内や都内近郊のマルシェ販売でのお客様とのダイレクトな繋がりや自由が丘・南青山といった高級住宅街の富裕層から支持を獲得し、リピーターが定着。
  • 調達多様化:アメリカ産・オーストラリア産・国産なつめの調査を進め、輸入リスク分散とブランド独自性を確保。

このように、らくだ道商店は産地から最終消費者まで一貫して語れる専門知識を持つ数少ない事業者です。

ナツメは薬膳や健康食品として古くから価値を持つ果実であり、現代においても需要が拡大する成長分野です。
らくだ道商店は、輸入・卸売・小売の実績に加え、栽培方法・加工技術・学術的価値に関する知見を持つことで、他の事業者にはない強みを築いてきました。

今後も「トレーサビリティが確保された安心感のあるなつめ」「オーガニック品質」「生産者のストーリー」を大切にしながら、ナツメ文化を日本に拡めてまいります。